高市内閣の支持率が最低更新はなぜ?ヤフコメ1,000件を分析したら、中傷動画より深刻な怒りが見えてきた

選挙公約って、守らなくていいものだったっけ。
時事通信の6月の世論調査で、高市内閣の支持率が政権発足後の最低を更新しました。前月から5.1ポイント下落して54.3%。与党は「中傷動画が印象を悪くした」という言い方をしています。
でも私が最初にこのニュースを見たとき、正直なところ「それだけが原因なのか?」と思いました。
気になったので、このニュースに寄せられたヤフコメを独自に集計・分析してみました。1,000件近いコメントを読み込んでいくうちに、与党の認識と世間の怒りのズレが、じわじわと見えてきました。

この記事では、その分析結果をもとに「高市内閣の支持率がなぜ下がったのか」について掘り下げています。
数字の話だけでなく、調べていく中で気づいた構造的な矛盾についても書いています。

| 感情カテゴリ | 割合(目安) | コメントの主な特徴 |
|---|---|---|
| 批判・失望 | 65% | 公約不履行・物価高・説明責任への怒り |
| 共感・諦め | 20% | 「どうせ変わらない」という政治不信 |
| 疑問・不信 | 10% | メディア・政策への構造的な疑念 |
| 擁護・支持 | 5% | 短期評価は早計・報道偏向という論点 |
※本記事のデータは、2026年6月19日時点で当該ニュースに寄せられたコメントのうち、特に反響の大きい「おすすめ順」の上位1,000件を抽出し、独自の感情分析を行ったものです。
支持率が最低を更新 高市内閣、今なにが起きているのか
5.1ポイント下落という数字、誤差か現実か

今回の調査結果を整理しておきます。日本経済新聞の報道によれば、時事通信が6月12〜15日に実施した世論調査で、高市内閣の支持率は54.3%。
前月比でマイナス5.1ポイントです。不支持率は2.5ポイント増えて22.2%となり、こちらは政権発足後の最高を記録しました。
5ポイントを超える下落は、世論調査の文脈では「誤差の範囲」とは言い切れないとされています。コメント欄では法政大学大学院の白鳥浩教授の分析として、「現実に内閣の支持率が下落していると考えられる」という見解が多くの共感を集めていました。
時事通信の同じ調査シリーズで見ると、高市内閣の最高値は63.8%(2025年11月・2026年2月)です。今回の54.3%との差は約9.5ポイントになります。
それでもまだ54%という数字は、他国の政権と比べればそれほど低くない。でも読んでいると、「まだこんなに支持率があるほうがおかしい」というコメントも、実際には少なくありませんでした。
与党の「中傷動画が印象を悪くした」に読者が感じた違和感

与党内の反応として報道されたのは、「中傷動画が印象を悪くした」という認識です。
この言い方に、コメント欄は一斉に反応しました。「印象の問題じゃない」「実態が悪いから数字が下がってるんだ」という声が圧倒的に多かったです。
中傷動画疑惑を「原因」に挙げることへの違和感が、あちこちで噴き出していた。
繰り返し登場したのは、物価高・消費税公約・円安・説明責任・国民会議、この5つのテーマです。中傷動画はむしろ、もともとくすぶっていた不満に火をつけた「きっかけ」にすぎない、という見方が多数を占めていました。
高市内閣の支持率低下の原因 多くのコメントから見えた本当の不満の構造
繰り返し出てきたキーワードと、その背景

コメントで一番目立ったのは、生活への直接的な痛みでした。物価高・食料品値上がり・円安、この組み合わせが何度も出てきます。
高市政権発足から約8ヶ月間、円相場は150円を超えた状態が続いていて、輸入コストが積み上がっています。
ある投稿者は「全国民の預貯金が100兆円以上も実質的に目減りした」と書いていましたが、これは円安による購買力の低下を指しています。大げさな表現ではありません。
次いで多かったのが、消費税ゼロ公約への怒りです。衆院選で最も大きく掲げた「食料品の消費税を2年間ゼロに」という公約が、なぜか「1%への変更」という方向で検討されている。
農林水産省の食料自給率データを見ると、日本のカロリーベース食料自給率は38%にとどまっています。
食料の6割以上を輸入に頼っている国で、食料品の価格が上がり続けることの重さは、家計を直撃します。だからこそ、消費税ゼロ公約への期待が大きかった分、現在の方針に対する怒りも大きくなっています。
三番目が、説明責任への不信です。中傷動画疑惑に関して答弁が二転三転したこと、「国民会議」という名称の組織に消費税の議論を委ねたこと。コメントを読んでいると、「丸投げ」「先送り」という言葉が繰り返し出てきました。
擁護派はなぜ5%しかいなかったのか

擁護派のコメントも、ちゃんと読みました。論点は主に二つです。
「物価高は短期間で解決できるものではない、結果を急ぎすぎ」という現実論と、「メディアの報道が偏向している、中傷動画騒動自体が捏造では」という報道不信論。どちらも一定の根拠がある見方です。
ただ、共感数(いいねに相当する数値)を比べると、批判派のコメントが圧倒的に多くの共感を集めていました。擁護派の投稿が少なかったというより、擁護派の声が共感を得られていない、という状況に近かったです。
ここで少し話が逸れますが、私が気になったのは「他に誰がいるんだ」というコメントの多さです。
高市政権を批判しながらも、「石破・岸田に戻るくらいなら」という文脈で支持を続けている層がいる。これはある種の消去法的な支持で、政権への信任とは少し違う。54%という数字の内側に、そういう構造が含まれているのだと思います。
高市内閣の支持率低下 なぜこんな数字になるのか?調べながら気づいた3つの違和感と、そこから芽生えた持論
調べながら感じた、3つの違和感と仮説
コメントを1,000件読み込んでいるうちに、三つの違和感が頭の中で固まってきました。

消費税公約のほうが深刻な問題
一つ目は、「消費税公約のほうが、中傷動画より本質的に深刻な問題なのではないか」ということです。
中傷動画疑惑は確かに問題です。でも有権者の日常生活に直接影響を与えるかと言えば、答えはノーです。
一方で消費税ゼロ公約は、選挙で大勝した最大の看板でした。それが「国民会議で議論中」という形で棚上げされ、1%への変更が検討されている。選挙ドットコムの調査でも、消費税ゼロへの支持が最多を占め、世論は明確に0%を望んでいます。
それを「1%でどうか」と言い始めたとき、これは単なる政策変更ではなく、約束の書き換えではないかという感覚が生まれるのは自然なことだと思います。
対外即断・対内先送り
二つ目が、「対外即断・対内先送り」という非対称性への疑問です。
コメント欄で何度も指摘されていたのが、「外国への投資・支援は素早く決まるのに、国民のための政策は議論中で止まる」という構図です。これは高市政権に限らず、自民党政権全般への長年の不満でもあります。
ここで私が思ったのは、もしかしたら政権の意思だけでは動かせない何かがあるのではないかということです。
法案一つ通すにも、財務省・経団連・業界団体・連立パートナーといった複数のアクターの合意が必要な構造の中で、首相が「やりたい」と思っても進まないことがある。そういうがんじがらめの中で動いている可能性を考えると、「何もしない」と「できない」は区別して見たほうがいいのかもしれません。
でもそれを有権者が「でも説明してくれないから信用できない」と感じるのも、当然の話です。
日本の政治への根本的な問い

三つ目は、もう少し構造的な話です。日本の政治への根本的な問いと言ってもいい。
日本のカロリーベース食料自給率は38%、エネルギー自給率に至ってはさらに低い水準です。つまり日本は、食料とエネルギーの大部分を外国からの輸入に頼っています。
この状況で外交交渉に臨むとき、「これを売らないと言われたら困る」という弱さを、相手国が知らないはずがありません。
物価が上がるたびに政府が補助金を出してしのぐのは、根本的な解決ではなく傷口に貼るテープです。消費税がゼロになったとしても、輸入食料の価格が上がり続ければ生活は楽にならない。
本当に物価高を止めたいなら、食料・エネルギーの自給率を上げることが外交の基盤を作ることにもつながる。コメント欄でそこまで言及している人は多くなかったですが、問題の根はそこにあると思っています。
農林水産省は2030年度の食料自給率目標を45%(カロリーベース)に設定しています。現在38%から7ポイントを5年で上げる計算です。
目標があることは知っていましたが、調べてみると意外でした。進捗管理の仕組みを作ったのは比較的最近のことで、これまで数十年間、目標を掲げながら横ばいのままだったという事実は、重く受け止める必要があると思います。
持論:支持率低下の本質は「期待値のインフレ」と「実態のデフレ」のギャップだ

「初の女性総理」という象徴性が、期待値を実態以上に押し上げた。これは高市首相個人の責任というより、長く停滞してきた政治への閉塞感が、新しい顔に集中して乗っかった結果だと思います。
テーブルを挟んで、何度も同じ約束を繰り返してきた政権と有権者の関係。その積み重なった疑念が、ついに数字として出てきた。
もう一つ見落とせないのは、「諦め」が20%という数字です。批判でも擁護でもなく、「誰がやっても変わらない」という無力感。これは今の支持率より、長期的に見てずっと危ない数字だと思います。
政治不信が少子化と無関係とは言えません。「どうせ何も変わらない」と感じた人が、将来に向けた投資(子育て・住宅・起業)を手控えるのは、経済的に合理的な行動です。
ちなみに話は飛びますが、人口が減ったから外国人を積極受け入れで補う、という議論がありますね。確かに即効性はあります。
でも文化・価値観・生活習慣の根底が違う人たちを急速に増やすことで、日本社会の凝集性が保てるかどうかは、別の大きな問題です。
その前に、今いる人たちが安心して子育てできる環境を整えることが先ではないかと思います。経済の上向きが先か、少子化対策が先か、でも結局それは同じ問題です。
次の国政選挙でも「誰かマシな人に」という消去法的な投票行動が繰り返されるなら、支持率はいったん上がってまた下がる、同じサイクルが続きます。
そのサイクルを変えるには、有権者一人ひとりが「この政策は何年後にどう効くか」を問う習慣が必要で、それは一朝一夕には変わらない。なかなか厳しい話ですが、それが今のコメント欄から私が読み取った、正直なところです。
まとめ:高市内閣の支持率低下が示すもの「印象の問題」ではなく「構造の問題」だった

与党は「中傷動画が印象を悪くした」と言いました。でも多くのコメントが指摘していたのは、物価・公約・円安・説明責任という生活直結の問題でした。印象ではなく実態が、数字を動かした。
54.3%という支持率は、まだ高い。でもその内側に「他に選択肢がない」という消去法的な支持が混じっている限り、次に何か起きたとき、数字は一気に崩れやすい状態にあります。
次に支持率のニュースを見たとき、「何ポイント下がった」という数字より、「何への怒りが何ポイントを動かしたか」という中身に目を向けてみてください。そっちのほうが、ずっと面白いことが見えてきます。


