20代の7割がテレビ離れって結局、若者のせいなのか、NHKのせいなのか、正直よくわからなかったので自分なりに考えてみた

「テレビ離れ」という言葉、もう何年聞き続けているでしょうか。
2026年6月、NHK放送文化研究所がまた調査結果を発表しました。20代の7割、30代の6割近くが平日にテレビをほぼ見ていない、という数字です。これ自体に驚きはありませんでした。むしろ「まだそんなに見てたのか」という感覚のほうが近い。

ただ、同じ日にNHKが「受信料の未収数が6年ぶりに減少した」とも発表していて、そっちの方が引っかかりました。
テレビを見ない人が増えているのに、お金は取れるようになった、という話が同じ日に出てくる。この二つのニュースはどうつながるのか、と思って、両方の記事に寄せられたヤフコメを独自に集計・分析してみました。
読み進めると、「テレビ離れの原因はどこにあるのか」という問いへの、世間の肌感覚がわかります。若者の嗜好よりも、もっと構造的な話が見えてきました。

| 感情カテゴリ | 割合(目安) | 主な内容 |
|---|---|---|
| 怒り・批判 | 65% | NHK受信料制度への強い反発、コンテンツへの失望 |
| 共感・納得 | 20% | 「自分も同じ」「わかる」という声 |
| 提案・建設的意見 | 10% | スクランブル化・民営化・税方式への移行論 |
| 擁護・中立 | 5% | NHKの役割を一定評価、制度変更への慎重論 |
※本記事のデータは、2026年6月17日時点で当該2記事に寄せられたコメントのうち、特に反響の大きい「おすすめ順」の上位各1,000件(計2,000件)を抽出し、独自の感情分析を行ったものです。
テレビ離れの現在地「7割」という数字をどこまで信用すればいいのか
NHK自身が発表した「ほぼ見ない」という数字の中身

今回の調査は、NHK放送文化研究所の国民生活時間調査として1960年から5年ごとに実施されているものです。今回は2025年10月に全国7,200人を対象に行われ、有効回答率は52.7%(3,795人)でした。
「調査した平日に15分以上リアルタイムでテレビを視聴した人」の割合は全体で71%。前回2020年の79%から8ポイント落ちています。世代別では16〜19歳が27%、20代が33%、30代が43%。つまり20代の67%、30代の57%が、その日テレビをほぼ見なかった計算になります。
これを「7割がテレビ離れ」と見出しにするのは、数字の上では間違っていません。
ただ、私自身、テレビをよく見る方だと思っています。でもリアルタイムはほぼゼロで、録画したものを後から見ている。この調査の基準だと、私も「テレビを見ていない人」にカウントされます。
TVerで民放ドラマを見ている20代も、同様にノーカウントです。NetflixでNHKが制作・著作に絡んでいるコンテンツを見ている人も、数字には入りません。録画視聴や配信視聴は、調査設計上の制約として対象外になっています。
専門家のコメントにも同じ指摘がありました。「今、どこまでをテレビと捉えるかが大切な時代だ」という声です。
TVerで番組を見ることはもはやテレビと言えるし、Netflixにもテレビ局が関わるコンテンツは珍しくない。「リアルタイム視聴の減少=テレビ離れ」という前提そのものが、少しずれてきています。
コメント欄に「驚き」がほぼゼロだったこと

2,000件のコメントを読んで気づいたことがあります。「7割という数字に驚いた」という声がほとんどなかったんです。
「やっぱりか」「当たり前だろう」「むしろ3割も見てるのか」。そういうトーンが圧倒的に多かった。世間はすでにこの現実を体感として知っていて、データはただそれを追認しただけ、という空気でした。
具体的な行動の話も多かったです。
- チューナーレステレビを買った
- Fire Stickをモニターにつないでいる
- テレビを捨てて3年経つが何も困っていない
数字の話ではなく、すでに移行を終えた人たちの証言として読める内容でした。
「テレビ離れ」という言葉はまだ「離れつつある途中」のイメージを含みますが、コメントの雰囲気は「テレビ不保有」という段階に入っている層が相当数いることを示していました。離れているのではなく、最初から持っていない。
じゃあ、なぜこんな数字になるのか?若者のせいなのか、NHKのせいなのか、コンテンツのせいなのか
「コンテンツがつまらない」は本当に原因なのか

コメントで多かった不満のひとつが、テレビ番組の内容への批判でした。旅番組、飯番組、クイズ番組ばかり。コンプライアンスの締め付けでバラエティのトゲが消えた。同じ顔ぶれが何年も出続けている。
これは私も感じるところがあります。10年前と比べても番組の多様性は確かに下がっています。ゴールデンタイムをザッピングすると、食べて旅してクイズをやる、の繰り返しになっている。
ただ、調べてみると少し引っかかる部分もありました。TVerの利用者数は伸び続けています。
テレビ局が作った番組を、スマホやPCで見ている人は増えている。つまり「テレビ局のコンテンツが見られなくなった」のではなく、「テレビという受け皿が選ばれなくなった」という方が正確に見えてきます。
「コンテンツがつまらない」は、テレビを見なくなった理由の一部ではあります。でもそれだけで7割という数字は説明しきれない。もっと根本的な何かがある気がして、受信料の話を掘り下げてみました。
NHK受信料がテレビを「リスク資産」に変えた

コメントの中で最も共感数が集まっていた意見のひとつが、こういう内容でした。「テレビを設置するとNHKの受信料が発生するから、そもそもテレビを持たない選択をしている若者がいる」という指摘です。
これ、冷静に考えるとかなり奇妙な話です。テレビという機器を買うと、見る見ないにかかわらず地上契約で月1,100円、衛星契約なら月1,950円の支払い義務が生じます(2023年10月値下げ後・2か月払いの月換算)。
しかもNHKを見たいと思っていなくても関係ない。結果として若者はテレビを「コスパの悪い選択肢」として判断し、最初から買わない。民放はその「とばっちり」を受けています。
今回の受信料ニュースで気になったのは、「未収数が6年ぶりに減少した」という発表の数字です。約174万2,000件が未収、前年比約3,000件減。
これが「改善した」として報じられていましたが、この数字には「そもそも契約を結んでいない世帯」はカウントされていません。テレビを持たない選択をした世帯は、最初から数字の外にいます。
テレビ離れが進むほど、契約母数そのものが減っていきます。未収数が多少減っても、受信料収入の中長期トレンドは下がり続ける構造です。

コメントの中に「スクランブル化すれば全部解決する」という意見が何百件も出てきました。スクランブルとは、見たい人だけが契約して、専用の受信設備や認証をしないと映らない仕組みです。WOWOWやスカパーはすでにやっている。技術的には何も難しくない。
それなのになぜNHKはやらないのか。NHKの公式な立場は「公共放送として誰もが受信できる環境を維持するため」というものですが、20代の7割が見ていない現実の前でそれを言い続けるのは、説得力が薄れてきています。
調べながら感じた3つの違和感 世間が見落としがちな矛盾の話
2,000件のコメントを読み込み、二つの記事を並べて見ていくうちに、違和感が3つ出てきました。

ひとつ目は、「若者のテレビ離れ」という言い方そのものです。
この表現には、どこか若者側に問題があるようなニュアンスが含まれます。「最近の若者は〜」という文脈でよく使われる型に近い。
でも実態は、若者が能動的に「テレビを拒絶した」というより、テレビを持つことのコストとリターンを冷静に計算した結果、「持たない」という合理的な判断をしているように見えます。
「若者のテレビ離れ」と言い続けることで、制度の問題から議論の焦点がずれていきます。受信料制度の話を正面から問われる前に、「若者の嗜好の変化」という文脈に収まってしまう。誰がこの言い方を好都合に思うか、考えるとおもしろいです。

ふたつ目は、発表のタイミングです。
「20代の7割がテレビをほぼ見ない」という調査結果と、「受信料の未収数が6年ぶりに削減」という発表が、2026年6月16日に同じ日に出ました。偶然かもしれません。
ただ、片方は「問題の深刻さ」を示すデータで、もう片方は「改善の兆し」を示すデータです。セットで出すと、「課題はあるが改善している」という印象になる。別々に出すより、同じ日に出した方がトータルの受け止めは柔らかくなります。
これが意図的かどうかはわかりません。ただ、広報の文脈でこの組み合わせを見ると、「上手いな」と思ったのは正直なところです。
みっつ目は、再放送の話です。
私はたまにNHKの番組表を見るのですが、再放送の多さが気になっています。深夜帯だけでなく、日中の時間帯にも「再放送」と書かれた枠が並んでいます。受信料を毎月払っている人にとって、これはどう映るのか。
「受信料で新しい番組を作ってほしい」というコメントが複数ありましたが、そこは同感です。コンテンツの質より先に、「新作を作る気があるのか」という問いが来る。
受信料を払いながら再放送ばかり見せられている人と、TVerで無料で最新ドラマを見ている人。どちらがテレビとのコスパがいいか、答えは出ています。
まとめ:テレビ離れとNHK受信料の問題、本当の「本丸」はどこにあるのか

多くのコメントを読んで感じたのは、世間はとっくに答えを出しているということです。
スクランブル化して、見たい人だけが払えばいい。技術的にできるのに、やらない理由は何か。
「公共放送の使命」という言葉が盾として使われていますが、その使命の受益者である若い世代の7割がテレビを見ていない現実と、正面から向き合った答えにはなっていません。
テレビ離れの原因は、若者の嗜好の変化でも、コンテンツの質の低下でもないと私は思っています。それは引き金のひとつに過ぎない。
本丸は「テレビを持つことのコストが、メリットを上回ってしまった」という構造変化です。そしてそのコストの中心にあるのが受信料制度だ、とコメントは繰り返し言っていました。
NHKが自ら「20代の7割がテレビをほぼ見ない」と発表したことは、皮肉な話でもあります。その数字を根拠に「見たい人だけが契約するスクランブル化が合理的だ」という主張は、ますます反論しにくくなっています。
「テレビ離れ」という言葉を見かけたら、「それは若者の問題として語られているか、制度の問題として語られているか」にも注目してみてください。どちらのフレームで語られているかで、誰の都合で書かれた記事かが透けて見えます。


