モバイルバッテリーの発火はなぜ相次ぐ?PSEマークは本当に安全?検査義務化の実効性を調査

モバイルバッテリーの発火はなぜ相次ぐ?PSEマークは本当に安全?検査義務化の実効性を調査

またモバイルバッテリーが燃えたそうです。

政府がようやく重い腰を上げて、第三者機関による検査を義務化する方針を固めたというニュースが出ました。

見出しを読んだ瞬間の感想は、正直「はいはい、また偽物のシールが量産されるパターンですね」でした。

検査を厳しくしますと言われても、偽造マークを刷る技術のほうがだいたい一枚上手です。

これは筆者の邪推でしょうか。

それとも今回もその通りになりそうな気配があるのでしょうか。

ヤフコメを覗いてみると、似たようなことを考えている人がそれなりにいました。

まずはその温度感を数字で見てから、経産省が実際どこまでやっているのか、掘ってみます。

反応の傾向割合
政府対応の遅さへの批判40%
発火そのものへの不安・恐怖25%
中国製品への不信感15%
廃棄・処分方法への困惑15%
規制の実効性を疑う冷静な指摘5%
ヤフコメを独自に分析グラフ

※本記事のコメント傾向データは、Yahoo!ニュース「発火相次ぐモバイルバッテリー、粗悪品排除へ第三者機関の検査義務化…」(読売新聞オンライン、2026年8月23日配信)に寄せられたコメントを独自に分析したものです。

安心して持ち歩ける燃えないモバイルバッテリー

安心して持ち歩ける燃えないモバイルバッテリー

★★★★☆ 4.0 (4件)

発火リスクを低減した半固体電池採用
コンパクトなのに2ポート同時充電対応
PSE認証済みで毎日安心して使える

モバイルバッテリー発火はなぜ「今さら」規制?ヤフコメの一次反応

PSEマークは本当に安全?

「遅すぎる」批判が4割を占めた理由

コメント欄を眺めていると、いちばん多かったのは怒りでした。

表のとおり、政府対応への批判がおよそ4割を占めています。

発火そのものへの不安が続き、中国製という言葉への不信感もかなりの割合で入り込んでいました。

要するに「今さら」という一言に集約できそうな空気です。

「PSEマークは自己申告で意味がない」という声の裏にある違和感

その中でも気になったのが、PSEマークに対する冷めた声でした。

マークなんて誰でも印刷できる、というコメントがいくつも並んでいます。

さすがにそれは言いすぎでは、と最初は思いました。

ただ、この「言いすぎ」が案外そうでもなかったので、次から本題に入ります。

PSEマークは「丸形」ゆえ自己確認だけでよかった、電気用品安全法9条の穴とNITE事故2140件

経産省FAQが認める「登録検査機関の検査は義務付けられていない」という一次情報

登録検査機関の検査は義務付けられていない

経済産業省のサイトに、モバイルバッテリーに関するFAQというページがあります。

そこにはっきりと書いてありました。

モバイルバッテリーは電気用品安全法上「特定電気用品以外の電気用品」にあたるため、法9条に基づく登録検査機関による検査は義務付けられていない、と。

つまりこれまでのPSEマークは、製造した会社や輸入した会社が自分で確認して、自分で貼ってよかったわけです。

車検のいらない自転車に、自分で「整備済みステッカー」を貼っているようなものだと考えると、わりとしっくりきます。

登録検査機関の義務なし

メーカー側からすれば、外部の検査機関に依頼する手間もお金もかからず、スピード重視で市場に出せる仕組みでした。

安く早く量産したい業者にとって、この自己確認という制度は正直かなり都合がよかったはずです。

ヤフコメの「マークなんて誰でも刷れる」という声は、感覚的な悪口ではなく、制度としてほぼその通りだったことになります。

NITE「2025年度事故情報収集報告書」、充電器事故が2021年度ランク外から2025年度に首位へ

制度の穴がわかったところで、実際どれくらい事故が起きているのかも見ておきます。

NITEが今年の6月に出した報告書によると、モバイルバッテリーを含む「充電器」の事故件数が、電池そのものの事故を上回って製品群別で一番多くなりました。

数年前まではランキングにすら入っていなかったジャンルです。

それがわずか数年で首位に躍り出たというのは、単純に増加傾向という言葉だけでは片付けにくい話です。

別の集計では、直近5年間でリチウムイオン電池を積んだ製品の事故が2000件を超えていました。

年間に均すと400件前後になります。

ほぼ毎日どこかで、発煙か発火が起きている計算です。

さらに、そのうち8割を超える割合が火災にまで発展しているというデータもあります。

膨らんだだけで済むケースより、実際に燃えるケースのほうが多いというのは、なかなか重い数字です。

事故のピークは6月から8月にかけて、つまりちょうど今の時期にあたります。

安心して持ち歩ける燃えないモバイルバッテリー

安心して持ち歩ける燃えないモバイルバッテリー

★★★★☆ 4.0 (4件)

発火リスクを低減した半固体電池採用
コンパクトなのに2ポート同時充電対応
PSE認証済みで毎日安心して使える

経産省はすでに動いていた、2025年12月19日「連絡不通事業者36社」公表という布石

ここまでだと「経産省はずっと放置していた」という印象になりそうですが、実はそうとも言い切れません。

去年の12月、経産省は電話やメールで何度連絡しても応答がない事業者を、ホームページ上で公表しています。

いわゆる連絡不通事業者リストというもので、そこには数十社の名前が並びました。

クラス一つ分の生徒がまるごと行方をくらませているようなものです。

このリストは3か月おきに更新され、連絡が取れた会社は削除される仕組みになっています。

大手の通販サイト運営会社にも、このリストを参照するよう呼びかけていました。

さらにさかのぼると、モバイルバッテリーやスマートフォンの回収とリサイクルを義務づける制度も、今年の春から動き出しています。

つまり今回の第三者機関検査の話は、いきなり出てきた対策というより、去年の年末から続く一連の流れの延長線上にあると見たほうが自然です。

検査義務化の実効性はどこまであるのか、ヤフコメと事実のズレから読む違和感

第三者機関検査でも「偽装レポート提出」の壁は消えていない

検査主体が変わっても偽装レポートの壁はそのまま?

自己確認から第三者機関の検査に切り替わる、という話自体は前進だと思います。

ただ、ここで一度立ち止まりたくなります。

自己確認の時代でも、検査データそのものを偽って提出する業者がいたという話は珍しくありませんでした。

検査の主体を国内の第三者機関に変えたところで、提出される書類やサンプルの中身までは、そう簡単には見抜けないのではないでしょうか。

型番だけ変えて次のシールを刷る業者からすれば、検査の窓口が変わっただけの話かもしれません。

だとすれば、今回の制度改正は「検査を厳しくする」というより「検査を通すハードルの場所を移動させる」に近い作業になる可能性があります。

ここは筆者メモに書いた邪推が、思ったより外れていなかった部分です。

安心して持ち歩ける燃えないモバイルバッテリー

安心して持ち歩ける燃えないモバイルバッテリー

★★★★☆ 4.0 (4件)

発火リスクを低減した半固体電池採用
コンパクトなのに2ポート同時充電対応
PSE認証済みで毎日安心して使える

経産省の一連の対応を並べて見えてきた「後追い感」の正体

連絡不通事業者の公表、回収リサイクルの義務化、そして今回の検査義務化。

こうして時系列で並べてみると、この1年足らずでかなりの数の制度が立て続けに動いています。

事故が急増した直後の対応としては、実はそこまで鈍い動きではありません。

それでもヤフコメの「今さら」という空気は消えませんでした。

おそらく怒りの矛先が向いているのは、この1年の対応スピードではなく、丸形のPSEマークを何十年も自己確認だけで済ませてきた制度設計そのものです。

直近の対応を責めているようで、実は制度の土台を責めている、というねじれがそこにはありそうです。

まとめ:モバイルバッテリーの発火とPSEマーク、検査義務化で本当に安全になるのか

結局のところ、PSEマークの正当性を担保する仕組みそのものが変わらない限り、検査の主体を変えるだけでは同じことの繰り返しになりそうな予感が拭えません。

筆者メモに書いた「困ったもんだ」は、少なくとも今の時点では的外れではなかったようです。

第三者機関がどこになるのか、いつから始まるのか、違反した業者にどんな罰則が科されるのか。

肝心な部分はまだ発表されていません。

このあたりが固まった時点で、また掘り直す必要がありそうです。